一攫千金狙いで、日本の宝石珊瑚を採りにやってくるの中国密漁船団。
宝石サンゴの価値が著しく上昇していることも一因のようですが、
珊瑚(コーラル)を使った文字板が、
ロレックスやパテック・フィリップに存在していたのを
読者の皆様はご存じでしょうか。
そこで、まずは、宝石珊瑚の希少価値を理解していただきましょう。
立正大学(地球環境科学部)岩崎 望さんの説明に依ると、
宝石サンゴが日本にもたらされた時代は定かではありませんが、
現存するものとしては正倉院に納められている珊瑚のビーズが最古の物です。
これは、聖武天皇、光明皇后らが奈良東大寺の大仏開眼会(752年)で
使用したとされる冠を飾っていたものと伝えられています。
琉球諸島周辺海域から採取したモモイロサンゴの
肥大成長速度(骨軸が太る速度度)は、1年で0.15 mmと非常に遅く、
大人の小指くらいの太さになるのに
約50年かかるそうです。
それでは、浦島太郎のおじいさんになってしまいますね。
そのため、宝石サンゴを人工的に飼育し増産を図ることは、
その成長が遅いために現実的ではないのですね。
岩崎さんの説明以外にも、調べてみると、
虫食いされたものが8~9割の為、宝石珊瑚として加工できるものは、
たったの1、2割しかない。
珊瑚は海中で成育しているため、貝や甲冑類などが珊瑚に付着し、
これらを巻き込み成長するため、加工の途中で、
これが不純物で表出することもある。
と言われております。
となると、もし時計の文字板として、珊瑚で一枚板で作ろうとすると、
必然的に大きな直径が必要となるわけで、
1センチを超える文字板クラスでは、
100年にも渡って成長した珊瑚の原木が必要となるはず。
だからこそ、珊瑚(コーラル)文字板は、
非常に凄い希少性がでるわけです。
近年、高級時計に使われるマザーオブパール文字板とは
もはや比べものにならないレベルの
高い価値を珊瑚(コーラル)文字板は持つわけです。
そこで、まずは稀少なパテックフィリップの
宝石サンゴ文字板をもつ時計から紹介しましょう。
PATEK PHILIPPE Ref.4300
さらに、同形状で、石付もあります。
PATEK PHILIPPE Ref.4298
装着写真もありまして、
そして、ロレックスのほうはと言いますと、
1970年製だそうです。
Rolex Ref.6916 or 6917
ですが、95万円ほどのお値段。
宝飾性の高い文字板を展開していたロレックスならではですね。
実に素敵な文字板です。
ロレックスにおいては、
珊瑚(コーラル)文字板は、ギャラ等から、
1990年前半までは存在していたのを確認していますが、
これが90年代の最後のモデルでしょうかね。
90年前半でも、レディースロレックスにもかかわらず、
その定価は155万円ほどであったため、
当時でさえも、いかに珊瑚文字板の付加価値が高かったかがわかります。
ずいぶん前に、日本ロレックスにて、古い文字板カタログを
拝見させて頂いたことがあるのですが、
残念ながら、その当時でも、珊瑚(コーラル)文字板は、
昔のカタログ上では掲載されていたものの、
もはや製造しておらず、在庫もありませんで、手に入れることが出来ませんでした。
価格が20年来、上昇し続ける珊瑚。
その珊瑚文字板を有するロレックスの希少価値は
ますます高まるのでしょうね。