時計ブランドの戦略




朝の日課は、毎朝、新聞各紙をざっと目を通すことから始まります。


各紙の一面記事は新聞社の顔とも言うべきものであり、毎朝、各紙が何のネタを持ってくるのかが私の密かな楽しみなのです。



ずいぶんと昔は朝日、数年前は読売、最近は東京新聞が面白いと思っています。



例えば111日朝刊の一面記事を見比べてみると、それもわかりやすいです。




天皇関係を一面トップに持ってきたのが、

読売新聞、朝日新聞、毎日新聞


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読売新聞は、「新天皇の”即位”」としたのに対し、他紙は、国民向けに”新元号”を一番大きい文字に。


日経はトップには持ってこなかったものの、一応”皇位継承”と扱う差があります。


経済系のニュースを一面トップに持ってきたのが、

日本経済新聞、産経新聞、東京新聞


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ただ私の注目点は、天皇退位の関係、新元号をトップとするかといったところではありません。


トヨタの対米投資の記事の扱い方です。

一番大きな文字での表題は、


読売新聞「トヨタ 米で設備刷新」

産経新聞「トヨタ 米投資1.1兆円」

毎日新聞「トヨタ メキシコ撤退せず」

東京新聞「アピール先はトランプ」



トヨタの対米投資を伝えるにおいて、東京新聞は編集現場で推考した感がある。


同じことを金太郎飴のように伝えられても、読み手のわかりやすさも含め、面白みがありませんよね。


そんな差をつけられる新聞社の新聞は、やはり他紙よりは少し読み甲斐はあるものでして。




東京新聞の11日の朝刊では、銀座において、20の海外高級ブランドがメンバーとなった任意団体が設立され、リシュモン・ジャパンの社長を会長に、銀座らしい街づくりのために高級ブランド達が協力し合って活動していることを紹介しています。



海外ではこういった協業は非常に珍しいことだそうですから、今後もぜひ協力の継続を願いたいものです。





さて、そんな活動は高く評価したいところなのですが、昨今の時計におけるブランド戦略については、色々と私は思うところがありますので、この機会にブログにつらつらと思いの丈を書いてみました。このあたりの感覚は、時計好きの読者の皆様も少しは似たような思いがあると思います。


時計ブランドがリリースする数々の時計達についてです。


ここ数年ずっと、各時計ブランドが、金太郎飴のように価格帯を引き上げ、高級路線を目指して、ユーザーを置き去りにして、ひた走ってしまっている気がします。


先ほどの新聞記事もそうですが、同じ事案を記事にするにしても、様々な視点で、個性的な記事を、またユーザである読み手のことを考えて書く意識がないと、差別化が生じないのと同様です。


ブランドイメージや購買ターゲット確立していない中、価格帯を上げても実力のないものが、一斉に同じように背伸びしているような感はないのでしょうか。



一時的なパネライ人気に便乗したケースの大型化は、外装仕上げの強化とともに、価格帯行き上げの言い訳にうまく使われていた感さえあるように思われるほどです。


真に時計ユーザーが望んでいた大型化だったのかさえ大いに疑問、と思うのです。


パネライの成功要因は、潜水時計という機能の特殊性、特性を伴った大型化というものであっての、他ブランドとの差別化で、クラシカルなドレスウォッチ中心のメーカーが大型化をするのはドレスアップという特性を無視した野暮な経営選択そのものに思われるだけなのではないかと。


ビジネスやスポーツウォッチでさえ、日常利用を考えたら、軽く、かさ張らない大きさであるべきなのは利用法からして必然と言えるわけですから。



他との違い、ブランド自身の個性、強みは何かを考えたら、今まで作っていなかったスポーツモデルをリリースすることさえ、ブランドの個性や強みをボカシかねないリスクの高い選択かもしれません。

またブランドの差別化とは何もデザイン面に限らず、価格帯での差別化もあります。


価格帯の差別化で成功したのがリシャール・ミルなのではないでしょうか。他のブランドではなかった、都心の高級マンションを買えるような値段帯をあえてボリュームゾーンに持ってきたことにより、他と差別化できたが最大の成功要因と思っています。


何本も超高額な時計を買える者達が集まるからこその、リシャールファミリー。


だから、初期の頃にリシャールミルが百万円前後クラスの時計を出したことはあったようですが、もし今後、そんな値段帯で時計をリリースし始めたらブランド価値は早晩なくなってしまうリスクがあると思われます。



一方では、宝飾メーカーであるブルガリの時計は過去の成功体験のポリュームゾーンにいまだに引きずられて、ジェラルド・ジェンタ時代の良きデザインをベースに、良き時計を作っているのにもかかわらず、評価が上げきれていないように感じます。カルティエほどには過去の遺産を生かした価格帯区分をうまく作れていない気がします。



あと、ブランド力が過去の歴史遺産の評価に大きく拠ることを忘れてはならないということでしょうか。


チープな価格で過去の名作の再販を行うような、まさに過去の歴史遺産を踏み台どころか踏みにじるような軽んじた復刻版時計をリリースするブランドは、ユーザーの離反を招くでしょうし、新たなユーザーも寄りつかない原因を積み上げる行為でしかないと思います。




ランゲ&ゾーネもムーヴメントを改良し、新作を出したりしています。

旧作と見ためをほとんど変えてませんから、より良き新しいムーヴメントを載せた新作を買ってくださいという販売戦略があるようですが、私からすると過去の自社製品価値を自ら貶める行為に見えます。



デザイン変えたら売れないリスクが高くなるのではという逃げ腰、責任回避の姿勢の現れで、それ自体が旧作を持っている既存ユーザーのことを蔑ろにしているようなものだと考えてほしいものです。



この辺りの改良、差異作りが比較的上手いのがロレックスですが、そんなロレックスでさえも、例えばエクスプローラ1のref.14270からref.114270のリリースの仕方はあまり成功したとは言えないのではないでしょうか。ムーヴメントが頑強になるなど付加価値増はしていますが、わかりやすい新旧の見ための差異は必要なのだと思われます。



ロレックスもそんな反省を生かしたのか現行ref.214270では、安直にケースを大きくしましたが、それに合わせて針の長さを買えない愚行を犯し、短足感を強調した見ためとなった感もあって売れ行きが悪かったのか、結局、最近になって針の長さをケースサイズに合わせて長めに変更したそうで。



また一部の心無き転売屋が短足、寸足らずな針があるのがレアで付加価値が高いと言い出すようなことはないかと懸念してしまいますが、賢明なる方はそんな選択はされないと思っています。



ともかくも、現状の時計ブランドの戦略に、がっかりしている時計好きの人も多いのではと思う今日この頃。


自らが時計収集家で愛用家であって、時計業界をけん引してくれる、ユーザー目線に立った新たな素晴らしき戦略家、有能な事業家の登場が待ち望まれます。




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by asmars | 2017-01-16 09:00 | ROLEX