最近、時計ライフを、読者の皆様は楽しんでいますか?
時計が高すぎて買えないと言う方も多いとは思いますが、
でも、実は、そもそも、4、5年前に買っていた価格帯ではなく、
それを大きく越えた価格の時計を見過ぎてはいないでしょうか。
<ジェラルド・ジェンタによるブルガリ・ブルガリのデザイン画>
この原画が未だに時計デザインのベースとして生き続けているのは、
やはりデザインの素晴らしさに尽きるのでしょう。
時計が趣味なら、上がりの時計を買って終わりというのは、
寂しいし、私は本当に時計が好きなら、あり得ないと思うんですね。
色々な素晴らしいデザインの時計が数は少ないけれど、
それなりに出つづけていますし。
うん百万の時計を持っていても、結局のところ、
他にも色々な種類の時計があるほうが、
服装とかに合わせて楽しめると思ってしまっていますし。
やはり、自分の趣向やファッションに合せて、
色々なブランドの色々なモデルの時計を数多く着けこなす、
これこそ時計趣味の醍醐味だと思うんですよ。
それは、買うまでのプロセスを楽しむとか、
売り買いを楽しむというよりも、はるかに気楽で長く楽しめるものですから。
まさに、クリスマスソングを愉しむように。
所謂、ETAポン載せ時計という蔑称が登場し、
あまりにミスリードな偏見知識が風評的に普及し、
まるでETA搭載が全て悪い時計のような存在として扱われたりしましたよね。
でも、本来は、一般普及の共通部品が数多いほうが、
故障時のメンテナンスやパーツ交換など行いやすく、
長く使う上で安心感があり、費用も安価に済むのです。
また、高額な時計の場合は、ETAをべースに、時計メーカーが独自にリファインしたりと、
それはそれで、メーカーらしさも出て良かったと思うのですね。
しかし、ETA供給問題もあり、メーカーの独自性が進みすぎた近年。
メーカーの独自機構ムーブメントが多くなれば、
個々の故障時のリスクは高くなりますし、
そもそも時計の販売価格が大きく上がってしまうことになりました。
ムーブメントの開発費の回収、ストックパーツの保管費用等を考えれば
販売時の価格を高くしなければならないのは当然でしょう。
時計の販売価格が高くなっている主要因ですね。
それなのに、ETAを載せて安く売って利幅を稼いでいるというような話は
独自ムーブメントを載せた時計の高額化した現状価格を見れば、
実は、案外そんなわけでもなかったのではと思えるのではないでしょうか。
実際、時計の機械の機構などの作りを楽しむ、ごく少数の機械フェチの方を除けば、
これだけ携帯電話やスマホが普及し、腕時計が無くても良い時代において、
一般の時計好きにとって、時計自体は、まさに、ファッションアイテム、
アクセサリーとしての存在意義でありますから、下手に独自機構だとか、
独自ムーブメントにこだわられて、普及度合いの低い、
手の出しずらい高価な価格設定にされても、はっきり言って良いことはありません。
以前紹介した、IWCやランゲ復興の最大の立役者である、
ギュンター・ブルムライン氏は、そこを、経営者として、
ちゃんとわかっていた方だったんですよね。
だからIWCにいる時代は、ポルシェデザインとか、デザイン面を重視しつつ、
普及しやすい価格帯にするため、汎用ムーブメントを極力使用した、
時計作りに邁進したわけです。
良きデザインは、数多くは生まれません。
偉才ジェラルド・ジェンタ氏であっても、限界はあったわけで。
だから一部のほんの一握りの少数の高級時計だけに、
良きデザインを使い切らせてしまうのは、本当にもったいないと思うのです。
そんなわけで、どうでしょうか。
読者の皆様も、4、5年前くらいに、買っていた時計の価格帯に戻って、
今一度、気に入った時計がないか、探してみてはどうでしょうかね。
たとえば、買いやすい価格帯なら、
まず50万円以下で探してみてはどうでしょうか。
今なら、安いと思える腕時計が、溢れていると思います。
アンティークやヴィンテージ物が、再評価されている近年ですから、
時計だって、時代遅れとかそんな風に見るのではなく、
改めて、腕に載せてみて、自分の服装や感性との相性を確かめてみてはと。
そこにはきっと新たな魅力の再発見があるかもしれません。
金額の高い時計を着け晒し、周りから凄いですねとかお世辞を言われたって、
そんな偽りの自己承認欲を満たすためだけの時計では、面白くないと思います。
結局、買っても一時の見栄張りのためだけのレンタル時計として、
結局、長く所有し続けられず、人に売る羽目に陥っていては、
逆に嘲笑に晒されるだけかと。
だから、極端な例かもしれませんが、
ひと昔前の、ロレックスのシンプルなオイスターパーペチュアルとか、
オメガのスピードマスターやシーマスター、
ブルガリブルガリやカルティエのパシャだとか、
昔流行った時計を、今一度着けてみるのも、
過去の楽しい時計ライフを思い出す、きっと良きキッカケになると、
遊馬は思うのです。
それは懐古主義でなく、原点回帰の中、今は作られない、作れない時計の、
新たな魅力を発掘しているのだと遊馬は言えるのではと思っています。
原点回帰で、時計ライフを愉しみましょう!